2010年7月31日(土)、京都リサーチパーク町家スタジオにおきまして、関西では2年ぶりとなります「DEMOsa WEST〜夏の京都特別編〜」を開催しました。
今回のDEMOsa WESTは、会場である「京都リサーチパーク町家スタジオ」や関西地区のMOSA会員の運営協力を得て実現しました。当日はのべ40名の皆さまにご来場いただき、盛況の会となりました。また終了後の懇親会も多いに盛り上がり、楽しい一時を過ごしました。
会場となった町家スタジオ。看板やのれんがなければ普通の民家と間違えてしまいそうです。
入り口を入ると2階まで吹き抜けになっています。今回のメイン司会を務めた大谷和利副会長(右)。
開会の挨拶。MOSA会長・小池邦人(左)ときょーくりっ代表のPasta-Kさん。
※動画(YouTube)はスピーカーにご了解のとれたもののみ今後掲載しています。
青山学院の苅宿俊文先生と共同開発している、メディア教育やワークショップ向けのiPhone/iPadアプリに関するデモが披露されました。たとえば「逆転時間」は、撮影した動画をその場で逆転再生できるというもので、主に小学生向けですが、普段見慣れた行為が新鮮に感じられたり、逆転したときに面白くなるようなアイデアを考えて撮影するようになります。
「脳の鏡」は、絵を描くと、時間軸を遡るようにその描画の過程を再生してくれるもので、完成品だけではなくそこに至るプロセスを意識出来るアプリです。最後に今後の展開として、上記アプリのデータを1台のiPadの画面に飛ばして共有できるBluetoothを使ったコラボツールや、より安定して動作するWi-Fi版も開発予定であることが語られました。
Pasta-Kさんがリーダーを務める「京都クリエイティブワークショップ(きょーくりっ)」の紹介です。この会は、2009年12月15日に設立され、プログラミングに関する先入観を排除して、ソフトウェア開発もモノ作りの1分野であるという意識を広めたい、コンテンツを消費するだけでなく、生成できる人間を育てたい、という思いからはじめたそうです。
今は、社会人の協力も得ながら、親子で参加できる子供向けのワークショップを企画中とのこと。連絡先は「京都クリエイティブワークショップ事務局 」です。(興味のある方はサポート担当の堀田さんまで是非コンタクトしてみてください。)
ポラロイド社の依頼によって開発したAdnroid携帯端末向けアプリ「PoGoApp」の紹介です。このアプリは、撮影した写真にポラロイド風の枠を付け、ポラロイドの携帯プリンタPoGoからBluetooth経由で印刷できるものです。Desire、Xperiaなどに対応しています。他にもデコレーションフレーム付きの仕上がりにしてみたり、四分割フレームにしたり、メッセージも書き込めるようになっています。ポラロイド風写真の色合いや、シャッター音、排出音にもこだわったアプリだそうです。
橋本さんは2年前にiPhone向けにPoraTasteというアプリも作ったのですが、商標などの関係で出すことができなかったそうです。しかし、この時の経験が今回の開発につながったとのことでした。
立命館大学に在籍のWataruさんは、iPhoneアプリの開発など技術系の活動に始まり、様々なことに興味をもって活動しているそうです。今回は「おもちゃ箱」のような大学生活でのあれこれをお話いただきました。
ダイビングをやっていた経験から人命救助に興味を持って学んだこと、感銘を受けた小説の話、大学で教職課程を取った経験から「きょーくりっ」で活動している高校生にアドバイスしたいことなどが熱い思いとともに語られました。
「まだ世の中にないものを作って、世界を変えることを目指しています!」という大石社長のデモです。今回披露されたのは初の自社アプリ「Fastboard」です。iPadに素早く手軽にファイルを転送して閲覧できるようにする為のアプリケーションで、専用のMacOSX用ソフト「FastBoard for Mac」と組み合わせて使用します。
iPadでFastboardを起動すると、すぐにMac側で認識されて、ファイルをウィンドウにドラッグするだけでiPadに転送されます。ドキュメントスキャナのScanSnapとも連動しますし、6台まで同時配信が可能なので資料の配布などにも便利です。この「Fastboard」は8月中旬に発売とのことでした。
小林さんからは、卒業論文として書いた、AR(拡張現実)技術を使ったコミュニケーションツールの構想を披露いただきました。被服製作が趣味の小林さんは自分で縫った浴衣姿での発表です。文系には扱いにくいAR技術ですが、大学のARツールキットで実装イメージをつかんだそうです。ヘッドマウントディスプレイ+USBカメラを利用した自作電脳メガネなどが紹介されました。
私たちは、写真が撮りたいときにはカメラを、電話がかけたいときには携帯電話を使いますが、したいと思ったときにそのようなアイテムがなくてもできる環境を作りたいという思いから発想を膨らませたそうです。
会社員の傍ら、個人でiPhoneアプリ開発も行っている北村さんから、個人がiPhoneアプリを開発する魅力についてお話いただきました。北村さんは、STUDIO SHINという名前で、「将棋盤」や「DotTouch」、「RabbitMaze」、「3の倍数」といったアプリを作り、販売されています。オリジナルアプリ以外にも、受託で「ジョブーブのお引越し」や「美人カレンダー」なども手がけたそうです。
デモでは上記アプリのほかに自作のドット絵を描くためのMac OS X用アプリケーション「DotShot X」やそのiPhone版「DotShot for iPhone」などが紹介されました。
高校2年生のチャゲさんからは「つくログ」というモノ作り共有サイト制作のお話を披露いただきました。このサイトはレシピサイトCookPadの工作版とも言えるもので、約3ヶ月で開発したそうです。
ツイッターで知り合った方の協力を得て、コーディングは自分、デザインや宣伝は協力者さんが担当し分業しています。ライバルサイトに負けないよう「つくログ」をより使いやすく日々改変しています。将来的に起業も考えているチャゲさんは一緒に活動する共同開発者を募集中!とのことでした。
小池会長からは、iPad上でボクセルを使った3Dデータの表示と操作の極限処理の実験結果が報告されました。今回紹介のソフト「Emon」は元々、Mac用として開発し稼動していましたが、最近では医療現場にiPadが導入されるようになってきたため、Macよりも非力なiPadでCTスキャンのデータ表示などがどこまで可能か挑戦してみたそうです。
デモではiPadに移植された「Emon」の表示処理が披露されました。CTスキャンデータ以外にも、動画データをボクセル形式で表示することもできるそうです。アイデア次第では、色々な応用が考えられそうな技術の紹介でした。
セキュリティ・アンド・プログラミングキャンプや、高専コンファレンスなどでアクティブに活動中の茨木さんから「高専生の視点」でのモノづくりへの取り組み方が語られました。茨木さんは「高専生とは、何か好きなことがある人!」と思っています。最近は作ることの楽しさを自然に見つける機会が減っているので、自ら高専に入学する人を待つより、勧誘することも一つの手だと感じているそうです。
今の子供達はなかなか好きなことに出会えない状況にあるので「きょーくりっ」などの活動を通じて、もの作りの楽しさを広めたいと思っているそうです。
終盤は社会人プログラマVS学生プログラマによるディスカッション。
京町家ならではのあたたかくリラックスした雰囲気を感じながら討論を行いました。
お忙しい中、お集まり頂きました皆さま、ご参加ありがとうございました。