2008年11月30日(日)、六本木の東京ミッドタウン内「インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター」におきまして、第5回「DEMOsa」を開催しました。今回も100名を越す皆さまにご来場いただき、大盛況の4時間となりました。
※動画(YouTube)はスピーカーにご了解のとれたもののみ掲載しています。
ニコンシステム社より「写真をハイビジョンテレビで楽しむ」をコンセプトに開発された「ハイビジョンピクチャ」が紹介されました。「ハイビジョンピクチャ」は、ニコンから発売中のコンパクトカメラ「COOLPIX S60」に搭載されています。このカメラ内にはフォトブックという機能がついていて、たとえば、色を手がかりに、暖かみのある写真、寒色系の写真など6種類のカラー傾向で自動分類して表示してくれます。今後はデジタルカメラ以外にも、デジタルテレビなどの組み込み機能としてもOEM展開を計画しているとのことでした。
モンゴルからの留学生、バドさんがプレゼンテーションされました。今回発表された絵文字ブログ「クッキー」は、自分の5歳のお子さんを見ていて「子供のコミュニケーションは、文字や言葉ではないので、それ以外のコミュニケーション方法はないか」というところから発想されたそうです。クッキーの機能は3つだけ。「絵文字でブログを書く」、「コメントをつける」、「追加する」というものですが、それだけに簡単に使えて子供以外にも、大人で言葉が通じない異文化コミュニケーションのツールとしても、使える可能性がありそうなサービスでした。
「フォトスチュワート(写真の執事)」というソフトが紹介されました。たくさんのデジタル写真を整理するプロカメラマンなどの場合、幼稚園のイベントなどでは千枚以上撮影するそうです。写真整理のためのストレスをどう解消するか、そして販売まで結びつけるかがポイントになってきます。「フォトスチュワート(写真の執事)」は、大量の写真の処理に長けている「コンピュータビジョン」とシーンの振り分けや公開・未公開の判断に優れる「人の感覚」、この2つの特性を組み合わせて写真を整理し、XMLファイルで保存してくれる機能を持っています。
現在、機能追加や検証のためプロトタイプのテスターを募集中だそうです。ご連絡はアルファシステムズ社まで。
iPhoneで縦書きを初めて実現した縦書きエディタ「川柳箋」の様々な機能についてDEMOされました。
・ドラッグ&ドロップでコピー&ペーストが可能(アプリ内のみ)
・コピー時の選択はマルチタッチで行い、7つまでペーストデータが登録可能
・明朝体のサポートを行い、川柳らしい雰囲気のある表示が可能
・文字色や背景色でカスタマイズも可能
・縦書きした結果は、写真アルバムに画像として保存、最大120文字で、100枚まで箋を保存
などなど、メモリと格闘しながら開発に苦心して作り上げた経験談も語られました。
プロがギャラなしで、好き勝手に作っているオーバークオリティな同人誌「ぱなし」が紹介されました。
このコンセプトは、日本画家の方が自分の絵を表紙にしたノートを作っているという話を聞いて、編集長の納富氏が、「美術館を旅するノート」と組み合わせて何かできそうだと思ったのがきっかけだそうです。いつでも持ち歩けるので、「懐中雑誌」。DEMOでは、編集部がmixi内に設置されているであるとか、「ぱなし」のロゴは書家の方に書いていただいた本格派であるとか、ユニークなエピソードが次々と語られました。
「ぱなし」は販売価格500円、「美術館を旅するノート」Web shop、作者から直接購入、銀座の五十音などで手に入るそうです。
本DEMOでは、加速度センサーをフルに活用したゲームアプリのDEMOが披露されました。今村さんは幼少期にインベーダーゲームにはまりファミリーベーシックでゲーム開発を体験した経歴をもつそうです。実機のDEMOでは、iPhoneを傾けて上下左右を見回したり、タッチで前進後退や方向変換、2本指のマルチタッチで平行移動、ひねると傾き調整を行なったり、タップで弾を打ったりする動作が披露されました。iPhoneの特性をうまく活かして迫力や没入感が得られるアプリとなっていました。
今回紹介された「Live2D」は、マンガなどを立体化せずに二次元のままで3D表現が可能なソフトです。中城さんからは、「3Dはアクションシーン、Live2Dはマンガのシーン的な部分に使って、互いに補完しあうイメージでいます。」というお話がありました。また「すべてのクリエーターが立体を目指しているわけではないと思うので、もう1つのアプローチとしてLive2Dの普及を目指したい」という点にも言及されていました。現在、java、flash、GoogleAndroidで開発中で、ほかのシステムにも拡張していく予定だそうです。
Live2D Animator/Modelerは、ただ今β版が公開されています。
ファイルやテプラなどを作っている文具メーカー・キングジムからメモツール「ポメラ」が紹介されました。
「ポメラ」はA6文庫本サイズで4インチ液晶付き、折りたたみキーボードとATOKを搭載し、340グラムの軽さです。USBケーブルかマイクロUSBでパソコンにデータを移せますが、パソコンではないのでOSがなく、ウイルスの心配がありません。電池で20時間も使用可能なのだそうです。DEMOでは、色々な機能を思い切ってそぎ落とし、デジカメやボイスレコーダーのように機能を限定したポメラのシンプルさが強調されていました。
4名の学生メンバーを代表して八塚絵里さんがDEMOしました。
日本の携帯では必須となっている絵文字。絵文字があれば言葉が通じなくても、子供でもコミュニケーションができるかもしれないーこの考えから絵文字をコミュニケーションサイトに応用し「クッキー」を考案したそうです。このサイトではオリジナルの絵をつけたクッキーを作って交換することで、相手とゆるくつながったり、クッキーのコレクションを楽しんだりする事を想定しているそうです。
現在、スポンサーや興味を持っていただける方を募集中とのことでした。
GClueは会津若松の会社です。「iKoto」という琴のアプリでBGMを奏でながらDEMOされました。
「iKoto」をはじめ、漢字の書き順がわかり、自分の筆跡を採点してくれるアプリ「KanjiDo」、芸者が3Dで踊る「Geisha」など楽しいアプリがいくつも紹介されました。また、AppStoreでの国別のダウンロード数なども紹介され、「日本人にしか作れないアプリで、アップルがストア上で薦めてくれれば、大ヒットする!」との経験談も語られました。さらに「アメリカでヒットするヒントは、すでに受け入れられている日本文化、そしてまだ受け入れられていない日本文化を利用し違和感のない欧米人向けのカスタマイズが重要。」とのメッセージも発せられました。
JavaScriptベースのマッシュアップエンジン「Afrous」が紹介されました。「Afrous Dashboard」は、Webブラウザ上で、様々なパーツを組み合わせて、必要な機能性を実現できる技術で、たとえば、Googleの検索結果を動的にリスト化するようなことや、Amazonの書籍検索の結果を、リストだけでなく、表紙のサムネールを含めた表示なども楽に実現できるそうです。もともとは企業向けに作られたそうですが、今後はコンシューマー用のシステムも公開して、近い将来には販売もしていきたいと考えているそうです。
ノートやメモを取るためのアプリ「RainbowNote」が紹介されました。この開発スケジュールは4ヶ月ほどだそうです。標準のメモ帳アプリがあるのになぜこのアプリを作ったのかというと、1.横長の状態でも使えるものがほしかったし、2.そうすると、大きなキーボードを表示できるし、3.パソコンとの間でメモのやりとりをしたかったため、だそうです。
パソコンとの同期は、MacもWindowsでも使えるという点から、Googleドキュメントを利用し、ワープロ書類も個別に読み込めるようにしたそうです。
宮本 さんからは、iPhoneのアプリ開発者にとって便利なサイトもご紹介いただきました。
簡単な操作で本格的なサイトが作れるホームページ作成ソフト「BiND」を使って「10分でサイトを作ってみよう!」というDEMOが披露されました。
BiNDはブロックのレイアウトを選んで、その中を編集する、という流れの繰り返しでWebページができるソフトです。今回は、「DEMOsaのサイトを作ってみる」と仮定して、背景をロゴと同じオレンジに合わせてみる、キャッチコピーの文字スタイルを変更する、(もちろん一度の変更で全てのページが瞬時に更新)など素早く簡単にウェブサイトが出来上がって行く様子が実演されました。
平野さんが「Web制作のノウハウを忘れて楽ができてしまうのが、BiNDの特徴です。」と仰っていたのが印象的でした。
宮田さんからは3つのiPhoneソフトが紹介されました。「メモリーツリー」は、今居る場所の記憶を残すためのiPhoneアプリで、金沢21世紀美術館で使うアート作品として作られたそうです。撮った写真は、思い出をとばす動作をすることでサーバーに送られ、キャッチする動作でそこに漂う思い出を採取できるという、なんともロマンチックな作品です。
続いて紹介された「モーションコミックスプレーヤー」は、動画、静止画、音楽を再生することができます。このアプリを使って配布されているまゆとろTHE TOONSと共に紹介されました。最後にしりあがり寿さんに絵を描いていただいたという木魚アプリ「i坊主」(未発売)は、縦に振ると木魚で、横に振ると鐘が鳴る、という非常に楽しいアプリですが、残念ながら販売はしていないそうです。
デザイナーのサトウさんはロンドン在住で、無印良品(MUJI)のヨーロッパ地区のオモチャや、ロンドンデザインミュージアムの教材のデザイン提案などをしています。DEMOsaの寄付にご協力いただいた時に御礼として差し上げている「ソックドック」も彼の作品です。サトウさんがオモチャ作る理由は「自分で楽しむ為」と「人を楽しませる為」だそうです。
サトウさんからは「高い品質、魅力的な用途、分かりやすい形状」の3点が、オモチャ作りにとって非常に大切であり、見ただけで使い方がわかるものを作るのは、他のデザインやコミュニケーションにも共通する重要な要素であるとのメッセージがありました。
「MEDIA PORT UP」はヘッドフォン型の映像再生装置です。オールインワンであること、ディスプレイがリトラクタブルであること(下げると映像、上げると音楽を楽しめる)といったことが特徴です。忙しい現代人が時間の制約の中で映像を楽しむには、どうすればよいかというところから発想して作られた製品だそうです。製品だけでなく、映像サービスと一緒になっている点も特徴で、サービス(UPLINK)では、専用サーバーから映像配信が行われ、ストリーミングとダウンロードの両方で映像を楽しめるということでした。
今回も沢山の方が終了後の懇親会に参加してくださいました。
プレゼンされた製品の実機展示も。
皆さまよりお寄せいただきました運営支援金は、23,429円になりました。
皆さんの暖かいお気持に心より御礼申し上げます。
お忙しい中、お集まり頂きました皆さま、ご参加ありがとうございました。
第6回は2009年4月開催予定です。
次回の「DEMOsa」にもどうぞご期待ください!