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MOSA Developer News[MOSADeN=モサ伝]第314号

2008-09-30

目次

  • WWDC初参加レポート
  • 「「Wonderful Server Life」    第78回   田畑 英和
  • ターミナルの向こうから      第33回  海上 忍 

Wonderful Server Life」  第78回  田畑 英和

  〜「サーバ管理」編〜

 Mac OS X Serverのアップデートがリリースされました。また、他にも色々とアップデートがリリースされていますので今回は最近のアップデートについて解説します。

◇Mac OS X Server 10.5.5
 まずはOSのアップデートからですが、今回リリースされた10.5.5はいつものように1つ前のバージョン(つまり10.5.4)からアップデート可能なものと、10.5.0以降からアップデート可能なコンボアップデートの2つが同時にリリースされています。

・Mac OS X Server 10.5.5
http://www.apple.com/jp/ftp-info/reference/macosxserver1055.html
・Mac OS X Server Combo 10.5.5
http://www.apple.com/jp/ftp-info/reference/macosxservercombo1055.html

 OSのアップデートはインストール後にシステムの再起動が必要になりますので、アップデートは計画的に行う必要があります。ところでMac OS X Serverのパッケージもしばらく前にアップデートし、現在では10.5.4のバージョンを購入することができます。
 また、10.5.5のアップデートの詳しい内容はこちらのページで解説されています。

・Mac OS X Server 10.5.5のアップデート
http://support.apple.com/kb/HT2406?viewlocale=ja_JP

 ちょうど前回の連載で、共有ポイントのSMBのプロトコルオプションの設定で、Strict Lockingを有効にできないことを紹介しましたが、10.5.5のアップデートではこの問題が解消されました。

◇サーバ管理ツール 10.5.5
 サーバ管理ツールのアップデートもリリースされています。サーバ管理ツールの単体でのリリースは、OSの各アップデートごとにはリリースされず、前回の管理ツールの単体リリースは10.5.3のときでした。

・Server Admin Tools 10.5.5
http://www.apple.com/jp/ftp-info/reference/serveradmintools1055.html
・Server Admin Tools 10.5.5について
http://support.apple.com/kb/HT2667?viewlocale=ja_JP

 10.5.5の「サーバ管理」では、公開されていない修正点も含まれています。「サーバ管理」には、共有ポイントの設定画面で「有効なアクセス権インスペクタ」という機能を使って、特定のユーザに対するファイルやフォルダのアクセス権を確認する機能があります。
 このインスペクタですが、以前のバージョンの「サーバ管理」では日本語環境で実行するとアクセス権をさっぱり確認することができませんでした。日本語環境でインスペクタを表示すると表示領域のスペースが十分でなく、重要なデータを表示できないという、多国語化したアプリケーションでは落ち入りやすい問題があったのです。
 こういった問題があったため、これまでは英語環境で起動するといった回避策が必要でしたが、10.5.5の「サーバ管理」ではようやく日本語環境でも正常に画面が表示できるようになりました。

・有効なアクセス権インスペクタ(10.5.5)
http://www.htabata.com/img/MXS105/acl/acl_10.5.5.png
・有効なアクセス権インスペクタ(以前のバージョン)
http://www.htabata.com/img/MXS105/acl/acl_10.5.png

 安定して稼働しているサーバですと、なかなかアップデートをかけるタイミングというのが難しいところですが、リモートでサーバ管理を行っている場合はサーバのアップデートだけではなく管理端末上のサーバ管理ツールのアップデートも忘れないようにしましょう。

◇Apple Remote Desktop 3.2.2
 システム管理にとって欠かせないツールの1つでもあるApple Remote Desktopが3.2.2にアップデートしました。管理ツール用のアップデートとクライアント(つまりApple Remote Desktopで管理対象となるコンピュータのこと)用のアップデートの2つがリリースされています。このアップデートではセキュリティに関する修正も行われています。

・Apple Remote Desktop 3.2.2 Admin
http://www.apple.com/jp/ftp-info/reference/appleremotedesktop322admin.html
・Apple Remote Desktop 3.2.2 Client
http://www.apple.com/jp/ftp-info/reference/appleremotedesktop322client.html
・Apple Remote Desktop 3.2.2について
http://support.apple.com/kb/HT2691?viewlocale=ja_JP

◇その他のアップデート
 最近リリースされたその他のアップデートとしては、WebObjects 5.4.2やセキュリティアップデート(2000-006)、10.4と10.5向けのJavaのアップデートなどがあります。

 これらのアップデートはInternetに接続できる環境であればソフトウェア・アップデート経由でインストールできますが、最後にコマンドラインからアップデートを実行する方法をご紹介しておきましょう。
 softwareupdateというコマンドがあるのですが、このコマンドはMac OS X ServerとMac OS Xの両方で使用できます。利用可能なアップデートのリストを確認するには次のようにコマンドを実行します。

$ softwareupdate -l

 リストを確認するだけであれば通常ユーザでも実行可能です。実際にアップデートをインストールする場合はroot権限が必要になりますので、sudoコマンドと組み合わせて、次のようにコマンドを実行することで、利用可能なすべてのアップデートをインストールすることができます。

$ sudo softwareupdate -l -a


 他にもダウンロードだけを行うオプションや、特定のアップデートだけをインストールするオプションなどあります。なにもオプションを指定せずにただsoftwareupdateとだけコマンンドを入力するとコマンドの簡単な使い方が表示されますので参考にしてください。
次回へつづく                             

ターミナルの向こうから      第33回  海上 忍

〜 PDFを活用する(4)〜

 前回は、Perlモジュール「PDFJ」で文書レイアウトを行うための基本事項を紹介しました。今回は、PDFJの機能を利用してベクター画像を描いてみましょう。

・PDFJでベクター画像を描く
 PDFでは、JPEGのようなビットマップ画像を含むこともできますが、いわゆるテキストボックスのようなレイアウトに関わる文書パーツには馴染みません。その点、拡大しても粗くならないベクター画像は、文書パーツや挿絵のような用途に適しています。
 Perlモジュール「PDFJ」では、前回同様、最初に「use PDFJ」としてモジュールをロードすれば機能を利用できます。主要なメソッドの用法を紹介するためのひな形(リスト1)を掲載しますので、以下に紹介するサンプルコードで実際に試してみてください。

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リスト1:ベクター画像描画テスト用のひな形

#!/usr/bin/perl

use strict;
use warnings;
use PDFJ 'SJIS';

my $doc = PDFJ::Doc->new(1.6, 595, 842);
my $page = $doc->new_page();

(ここにサンプルコードを挿入)

$zukei->show($page, 0, 0);
$doc->print("drawtest.pdf");
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・直線を描く
 直線を引くときは、lineメソッドを使用します。引数は「X1、Y1、X2、Y2、スタイル」の形式で、スタイルの部分で線の太さなどを指定します。以下の例では、ページの左下(0,0)から右上(595,842)に向け、2ピクセルの太さの直線を描いています。

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my $zukei = Shape->line(0, 0, 595, 842, SStyle( linewidth => 2 ) );
- - - - -


注:出力結果は linetest.pdf を参照
http://www.mosa.gr.jp/?p=2174

・スタイルを指定する
 上記のlineメソッドでは、「SStyle」サブルーチンを使い線の幅を指定しています。それ以外にも、表2に挙げたパラメータを与えることで、線の色や破線の条件設定、塗りつぶしの色などを指定できます。以下の例では、線の幅が1.5ポイント、間隔が2の破線、線の色が薄いオレンジの直線を描いています。

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my $zukei = Shape->line(0, 0, 595, 842, SStyle( linewidth => 1.5, linedash => '2,2', strokecolor => '#CC8C32' ) );
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注:出力結果は上記URLの styletest.pdf を参照

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表2:主なSStyleパラメータ

fillcolor => 塗り潰しの色(色オブジェクト)
linewidth => 線の幅(ポイント)
linedash => 破線と隙間の長さ
preskip => 前の間隔(ポイント)
postskip => 後の間隔(ポイント)
strokecolor => 線の色(色オブジェクト)
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・円を描く
 circleメソッドを使うと、円を描くことができます。引数は「X、Y、R、形式、円様式、スタイル」の形で与え、形式には塗りつぶし(f)、線(s)、線と塗りつぶし(sf)の3種類を、円様式には四半円の表示位置(1=右上、2=左上、3=左下、4=右下)を指定できます。SStyleパラメータを使用する場合には、円様式に「0」を指定します。以下のサンプルでは、半径150ポイントの円を描き、内側を緑色で塗りつぶしています。

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my $zukei = Shape->circle(250, 420, 150, 'f', 0, SStyle( fillcolor => '#00FF00' ) );
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注:出力結果は上記URLの circletest.pdf を参照

・一筆書きで星を描く
 polygonメソッドを利用すると、多角形を描くこともできます。使い方はシンプルで、最初の引数に線として結ぶ点の座標を配列([x1, y1, x2, y2 …])として与え、あとは円と同様に形式(f、s、sf)とSStyleパラメータを指定します。以下の例では、金色に塗りつぶした星を描いています。

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my $zukei = Shape->polygon([250, 320, 191, 501, 345, 389, 155, 389, 309, 501, 250, 320], 'f', SStyle( fillcolor => '#D6B75B' ) );
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注:出力結果は上記URLの startest.pdf を参照

・図形にテキストを重ね書きする
 図形はshowメソッドで描画され、基本的には実行した順に1枚ずつのレイヤーとして、重ねて配置されます(最新のものが手前)。この順序を変更する場合には、ページオブジェクトのlayerメソッドを操作します。
 たとえば、テキストを出力したあとに図形を描くと、重ねて表示されてしまうため、その部分のテキストを読むことができなくなりますが、テキストを出力する直前にレイヤーの値を(もっとも手前に表示されるよう)高く設定し、その後図形を出力する前にレイヤーの値を低く設定し直せば、その後いくつか図形を出力しようとも、テキストが読めなくなることはありません。

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$page->layer(100);
$para->show($page, 30, $paperheight - 100);  #テキストの出力

my $zukei = Shape->circle(250, 420, 60, 'f', 0, SStyle( fillcolor => '#10A0A0' ) );

$page->layer(1);
$zukei->show($page, 0, 0 );  # 図形の出力

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注:出力結果は上記URLの startest.pdf を参照

◇MOSAからのお知らせと編集後記は割愛します◇

 

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