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【終了・レポート】MOSA Software Meeting 2019 in 原宿

iOS、macOS、watchOSの技術情報を楽しく共有するイベント

フォトレポート(10/18)

今年で 26回目のMOSA Software Meetingを原宿で開催いたしました。湘南国際村での開催が3年続いていましたので、久しぶりに都内での開催です。
6月に開催されたApple Worldwide Developer Conference(WWDC)で多くのテクノロジーも披露され、今回の発表は開発者にとって多くのインパクトがありました。
iPad専用のOSとして作られた「iPadOS」、iPadアプリをmacOS上で動作させることができる「Project Catalyst」など、近年では見ない大幅な構造改革が発表され、特にSwiftUIはアプリ開発に新たな手法をもたらす大きな技術で、新旧プログラマ問わず同じスタートラインに並んで、これからのアプリ開発に取り組む状況が作り出されました。
そこで今年のMSMは、もう一度初心に戻りアプリの基本的な作り方やAppleの最新技術とじっくり向き合い、有意義な時間を皆さんで共有を図る志向で開催いたしました。
場所は原宿・表参道という絶好のロケーションで、多くの皆さまにご参加いただきありがとうございました。
参加されなかった皆様も、どうぞ写真レポートでお楽しみください!


「ジョナサン・アイブなき後のAppleは、どこに向かうのか?」

大谷 和利 さん


MSM2019 は、テクノロジーライター大谷和利さんによる基調講演で幕を開けました。テーマは 「ジョナサン・アイブなき後の Apple は、どこに向かうのか?」です。Apple は1兆ドル企業になり、 iOS13 や macOS Catalina の発表、AR をベースとした顧客体験の設計が進み、Apple Watch はウェアラブルデバイスとしての地位を確固たるものにし、そして、もちろん Apple Card もありますね。金融、医療、教育、メディア、エンターテイメント、ファッションなど様々な文脈で語る ことができるわけですが、今回は 2019 年内に Apple を退職すると発表のあったジョナサン・ア イブへ想いを馳せ、これまでの歴史を振り返りながらも、あらためて Apple がどこに向かおうとし ているか、大谷さんにご講演いただきました。

さて、「どこに向かうのか?」という問いは、つまりは未来予測ですが、その前に語るべきは「今、 どこにいるのか?」ではないでしょうか。これまで Apple が発表してきたプロダクトがどうデザイ ンされてきたか、そしてその意味や意義は?Apple の問題解決への姿勢や特長、ブランディングに ついて、魔法のような仕掛けでわかりやすくご紹介くださいました。もしかしたら、若者による Apple に対しての認知は「iPhone をつくっている会社」程度かもしれません。しかしながら、大谷 さんの視点を少しでも借りて Apple を見ることができると、「Apple はなにをつくっている会社 なのか?」という問いが浮かんできます。MSM にご参加くださる多くの方は技術者ですので、セッ ションの中心にあるのは技術情報ですが、「そもそも技術とはなんのためにあるのか、なんのために 生まれたのか」という歴史や視点を持って技術者と一緒に語らうことができるのは MSM だけだと 思います。

特筆すべきは理解の深さと広がりにあります。情報量が爆発的に増え、ある程度のことはインタ ーネットで情報としては手に入るようになりました。しかし、それらの情報の多くは「点」です。 Apple がデザインしてきたもの、スティーブ・ジョブズ、ジョナサン・アイブ、テイムクックの後任者、 新しいデザインチーム(Evans, Alan, Jeff)、AR グラス、Apple Maps、3D プリンティング技術、 iPhone11 Pro に搭載された超広角レンズ、ビッグデータ、AI テクノロジー、シェアリングエコノミ ーなど、これらの点が Apple のビジョンやプロダクトとどのように交差し、繋がっているのか、大 谷さんはいつもヒントをくださいます。大谷さんの基調講演を聞くと、「Apple がどこに向かうか」 を考えるのはもちろんのこと、これから自分自身がどのような行動をとり、どのように Apple のプ ロダクトやサービスと向き合うかを考えるキッカケになります。日本は今、課題先進国と言われてい ます。だからこそ Apple の実践する課題解決の手法としてのデザインを取り入れ、課題をただ解く だけでなく、人々を魅了するような方法で、美しく解決していく姿勢が必要なのだろうと思います。 もしかしたら、我々が Apple に魅了されるのは、プロダクトのデザインそのものではなく、物事の 課題を美しく解決していこうとする姿勢そのものにあるのかもしれません。大谷さんの視点をまた お借りして、今後も考えていきたいと思います。大谷さん、いつもありがとうございます。(by 杉山 亮介)


「iPadで作る ARKit & CoreML アプリ・Mac Xcodeと iPad Playgrounds併用でスピード開発」

いけだ じゅんじ さん


いけだじゅんじ氏によるARKitおよびCore MLについての実践的なセッション。地元北海道の地域活動とも絡めながら、自ら楽しみつつ、精力的にプログラミングをされているのが感じられました。Playgroundsでのコンテンツ作成(プログラミング)の仕方から、Xcode付属ツールのReality ComposerやCreate MLの紹介にまで至ります。
添付資料のPlaygrounds Bookでは、ページごとに単独動作するプログラムが収録されていて、それぞれ実行しながらの解説。おつまみのおかきを判別するCore MLサンプル、立方体ARマーカーの検出面を元にアニメーションを行ったり、洞爺湖の地図(航空写真)をマーカーにして洞爺湖四季の表情をARで見せるものや、飛行機を旋回させ、合わせて音楽の定位を移動させるたり、画面上に浮遊する多数の円をタッチするとそれぞれの音階で音が鳴るなど、どれもが使って楽しく、プログラム的にも興味をひかれるもので、最後まで飽きさせないセッションでした。
なお、参加者全員にARマーカーとしての洞爺湖の地図とCore MLによる判別テスト用のおつまみの小袋が配られました。おつまみは参加者それぞれが美味しくいただきました(ごちそうさまでした)。(by 落合 徹)


「iOSもmacOSも同じやり方でユーザーインターフェイスを作れる! SwiftUIの使い方」

林 晃 さん


今年のWWDCで発表された技術の中で、SwiftUIは注目すべきトピックのひとつです。
そのSwiftUIを林さんは丁寧にかつ簡潔に解説されました。
NSObjectからの決別、Swift Only、Bindingによる制御など、大きな変革をもたらす技術として、SwiftUIの重要性を理解できました。
Appleが提供するすべてのOSで共通利用できることも、開発者にとって大きなメリットであると感じました。
Auto Layoutが今ひとつ好きになれなかった私としては、SwiftUIには大いに期待しています。
iOS 13縛りがあるのですぐに現場で使うことは無さなそうですが、いずれ避けて通れなくなると思うので、将来を見据えて勉強せねば!と思いました。(by 中野 洋一)


iOS/macOS/watchOSの新技術を探る・1

「Combineについて」

落合 徹 さん


落合さんよりCombineについてお話し頂きました。CombineはWWDC 2019で発表された新しいフレームワークです。概念自体はシンプルですが、様々なところで使われており、これからデベロッパーも触れることが多くなるフレームワークです。SwiftUIでもビューとデータとの同期にはCombineが使用されています。

セッションではCombineについてとても丁寧に解説された資料が提供され、その資料をもとに解説頂きました。現時点で日本語でCombineについてまとまっているドキュメントは他にはないのではと思います。Combineは非同期プログラミングの手法をとりまとめて行うためのインターフェイスです。セッションではSwiftUIのバインディングがCombineを使ってどのように実現しているのかについても解説されました。また、Combineを使うための入門的なところも解説され、Notificationやプロパティ監視のやり方、URLSessionと組み合わせたネットワーク処理への応用方法を解説されました。

Combineは避けては通れない、必ず使うことになるものです。提供された資料や解説頂いた内容がとてもためになると感じた方も多かったのではないでしょうか。(by 林 晃)


iOS/macOS/watchOSの新技術を探る・2

「macOSの新技術を探る」

村上 幸雄 さん


Cocoa.swiftを主宰されている村上さんからは、Cocoaの技術変遷と昨今のiOSとの融合について興味深いお話が聴けました。
Dark ModeやSwiftUIといった、macOSに絡む新しいトピックをご自身の感想も交えながら楽しく学べました。
個人的にはUIKitForMacという名称からmacCatalystに変更になったお話が面白かったです。
Catalystという単語は日本には馴染みのない言葉ですが、欧米では一般的なのでしょうか。
Catalystはまだまだ実装が甘いとの噂をよく聞くのですが、実際に使えるレベルになるのは先のようです。
ただ、macOSの進化の方向性はこれからもブレないと思いますので、今回学んだことをいつか振り返りたいと思います。(by 中野 洋一)


iOS/macOS/watchOSの新技術を探る・3

「iOS 13とwatchOS 6における 新技術のご紹介」

中野 洋一さん


中野洋一氏によるショートセッションは「iOS 13とwatchOS 6における新技術のご紹介」でした。具体的にはPencilKit、Core Haptics、独立型watchOSアプリについて、サンプルコードの実行デモを交えての解説です。
PencilKitでは、非常に少ないコードでフリーハンドの描画機能が利用できることを示し、描画結果の画像保存やカラーパレットの実装にも触れました。Core Hapticsについては、この技術がTaptic Engine(TE)による振動フィードバックだと言う事、TEはApple Watchにも搭載されているが、Core Hapticsは現時点ではiPhoneのみの対応である事。そして具体的なコードの説明がされました。独立型watchOSアプリについては、従来のiOS依存型のwatchOSアプリとの違いをアプリ構造やソースファイル構成などで比較しての解説があり、さらには、発展系としてiOSとwatchOSで使える(Core MLを利用した)音声認識技術であるSound Analysisについて、Create MLを使用したSound Classifierの作成から説明され、実装例として、猫の鳴き声とヒトが猫の声真似をしたものとで真贋を見極める(聞き分ける)というアプリが解説されました。
30分という短い時間でしたが、トピックスが盛りだくさんで新技術への興味が湧く、とても濃いセッションでした。(by 落合 徹)


IoT、ガジェット最新事情・1

「IoTとAppleデバイス」

石橋 利也 さん


IoT研究開発とプログラミング教育に力を注がれている石橋さんのセッションを興味深く聴きました。
ご自身は「のせるだけでラジコンになる」コンセプトのIoT製品「のせラジ」を開発されていてます。
まず「のせラジ」の製品をご紹介いただいた後、IoTの基本的な知識や市販されているセンサーの種類やその活用方法が解説されました。
技適や電波の種類など、知らなかった通信に関する知識が身につきました。
さらにiOSとBluetooth機器の間で通信するためのフレームワークであるCore Bluetoothについても解説されました。
限られた時間もあってすべては理解できませんでしたが、いただいた資料にはCore Bluetoothの使い方も詳細に書かれていたので、とてもためになりました。(by 中野 洋一)


IoT、ガジェット最新事情・2

「最新ガジェット事情」

増田 崇 さん


増田さんから最新のガジェット事情というタイトルでお話をいただきました。
まずご自身が主催しているファブスペース「神田ラボ」の紹介から始まりました。
「神田ラボ」は誰でも気軽に参加できる工作スペースで、IoT開発ボードと使った製作の場として活用されています。
続いて、現在発売されている様々なIoT開発ボードを、いろいろな視点から解説されました。
M5Stackシリーズには多くの時間を割いて、それぞれの特徴や機能そして活用方法が熱く語られました(その姿からM5Stack愛を感じました)。
顔認識のデモやロボットカーの実演など全体的に楽しい雰囲気の中でセッションが進みました。
このセッションをご覧になって、IoTガジェットの楽しさを感じ取った方も多かったのではないでしょうか。(by 中野 洋一)


情報交換・懇親会

プレゼンテーション:「ITday Japan 2019〜IT監視社会か? IT市民社会か? それが問題だ〜」シンポジウム

高木 利弘 さん

2019年12月9日、「IT革命の父」ダグラス・エンゲルバートのThe Demo 51周年を記念して「ITday Japan 2019〜IT監視社会か? IT市民社会か? それが問題だ〜」シンポジウムを開催します。世界全体が混迷を深める中、この歴史的な大変革をもたらしている「IT革命」とは一体どういうものなのか、どこから来て、どこへ向かおうとしているのか、日本国内はもちろん、全世界で、専門家ではない普通の人々によるディスカッションが巻き起こることを期待しています。
ご賛同いただける方は、ぜひ、ご参加ください。
http://itday.net/news/2091009_itday2019_announce/(Japanese)
http://itday.club/news/2091009_itday2019_announce/(English)
主会場は、東京御茶ノ水デジタルハリウッド大学駿河台ホールです。
参加お申込みは→ https://itday-japan-2019.peatix.com/
併せて、日本各地、および世界各地へのYouTube Liveを用いた配信、および、Zoomなどを活用した相互接続も予定しています。詳細についてのお問合せは、次のリンクにお願いします。
http://itday.net/ask/


スナップ






セッション終了後、情報交換・懇親会を行いました。フードとデザートにもMOSAらしい志向が凝らされています。フードはApple Parkをイメージした円形なのですが、それだけでなくARマーカーになっていました。iPhoneをかざすと出現します。ただ、手をつけるとARマーカーとして認識しなくなってしまいますね。杉山さん素敵な演出をありがとうございました。




ケーキも美味しくいただきました。




楽しく有意義な時間を過ごせました。




iPhone11の超広角です。大谷さん、ありがとうございました。



参加された方はもちろん、今回、残念ながら参加されなかった皆様も、次の機会をどうぞお楽しみに。



MOSA会員
暫定代表
いけだじゅんじ